戦後の都市化や勤労者化(サラリーマン化)が進み、戦前まで続いていた大家族が解体され、核家族化が進んだ現代は老齢化と少子化という現象が急速に進んでいます。この事態が日々進むなかで、家族に代わる地域社会の核となるものは何か? と考えると“これだ”というものが見当たりません。しかし、介護・医療、老齢所帯の見守り、子育て、地域の安全や防犯など地域社会に求められるものも多くなっています。地域で生れた赤ちゃんとその保護者を対象に絵本をプレゼントする「ブックスタート」を最初にはじめた北海道恵庭市は、子どもと本をつなぐことで、「読書」をキーワードにしたまちづくり、地域づくりでも注目されています。その中心を図書館が担ってきました。
この活動が目指しているのは「赤ちゃんと保護者、さらに保護者同志、そして地域と保護者が、よりつながりを深められるような環境づくりであり、子育て支援としての要素」が大きいといいます。その最大の特徴は、図書館職員、保健士、そしてブックスタートのフォローアップのために結成された市民ボランティアの団体
「えにわゆりかご会」のメンバーとの連携した活動にあるそうです。
単に絵本をさしあげたらおしまいではなく、他の子育て支援事業なども連動し、絵本を贈った後のフォローアップを大きな仕事としています。「あかちゃんといっしょ」というワークショップや子育て支援センターでの読み聞かせなどをボランティアが行い、読み聞かせサークルは市内に14団体もあるそうです。小中学校の読書習慣を形成するために、全小中学校へ専任の司書を置き、「読書」をまちづくりのキーワードにし、具体的な成果として、児童書の貸出数の増加(全貸出しに占める割合が30%以上)や、家庭で読み聞かせをするお父さんの増加、読み聞かせをきっかかけに「育児は楽しい」という家庭が増えたということもあります。またブックスタートを最初に経験した子どもは本を身近かなものと感じる傾向がうかがえ、小学生一年生となった子どもは、いままでの新入生と比べ、集中力や理解力がとても高くなっているとか。
いままで日本で公共図書館がボランティアの力や民間の力に頼ることには抵抗がありました。恵庭のすごいところは、そこをとっぱらってボランティアや他の機関との連携を積極的に行っていることで、それが一歩進んだ「地域づくり」の要となっているようです。自主自立の地域づくりの一歩が始まっています。