2007年12月23日

『日本語グーグルブック検索の開始と危惧』谷平吉

 今年7月から動き出した、検索エンジンのグーグルによる「日本語版ブック検索」は、注目しておく必要があるでしょう。本全文の横断検索が出来て、検索結果画面には、検索語を含む箇所数行が表示され、タイトルをクリックすると、本のページレイアウトのまま検索語が表示されます。著作権期間内の本は、出版社と著者の了解のもとに登録されています。騒がれた「ロングテール」減少も一巡し、現在のネット検索は、書名・著者・サブタイトル・出版社・若干の登録された検索語によるヒットですが、グーグルの「全文検索」は本全てに記載されている語句全てを探りますので、格段と検索による紹介の巾は広がります。広告費も沢山かけられない少部数の出版の広告・宣伝・マーケッティングの一手段としての可能性があり、米国では多くの大学出版局、専門書出版社が提供しています。

 本を提供する出版社のホームページとリンクする「相互ブランド検索機能」は、各社の本の検索数・リアルやネットの書店への誘導などのマーケッティング情報の提供をします。立ち読みのネット版と理解していますが、私企業に本一冊、全頁がスキャナーされ保持されることに危惧を持つ著者・出版社もあります。現在はまだ、自費出版社などの登録がほとんどのようですが、来年以降日本でも広がっていくように推測します。

 2002年から2007年までフランスの国会図書館館長を勤め、ミッテラン政権の政務官も勤めたジャン-ノエル・ジャンヌネー著/佐々木勉訳+解題の「Googleとの闘い−文化の多様性を守るために」(1,600円 岩波書店)は様々な示唆を与えてくれます。ヨーロッパ諸国がグーグルに対抗して自国言語・文化を守り多様性を確保し、情報の偏りと独占の弊害に対処するために独自の検索エンジンという遠大な構想「クロエ計画」を始めています。情報技術の進歩を認めつつ、その問題を解決すべく、検討したヨーロッパの知識人たちの経過を辿ります。この中には、このような時代の図書館員や書店員の必要性に関しても述べています。翻訳ですので、難解な言回しで苦労しますが、類書がないので読み通すべき書と思います。日本と比較し、自国言語や文化を守ろうとするヨッロッパの国々、国民の意識は驚愕することで、世界の最果ての島国に住む日本人には想像しがたいのですが、グローバル時代に入った現在、日本が最も学ぶべきことのように思います。
posted by 谷平吉 at 21:40| Comment(0) | 業界コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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